この記事には広告が含まれています。
博多らーめん 和
新宿西口で見つけた「豚骨ラーメン400円」という看板に足を止めました。
博多らーめん「和」は、ただ安いだけの店ではありません。
価格を先に決め、そこから設計された一杯には明確な意志が感じられます。
黒博多らーめんを食べながら、ラーメンと経営、そして自分自身の生き方まで考えさせられた記録です。

目に飛び込んできた「400円」の衝撃
新宿・歌舞伎町から大ガード西交差点を越え、都庁へ申請に向かって歩いていたときのことだ。
人の流れに合わせて歩いていると、不意に「とんこつラーメン400円」という看板が視界に飛び込んできた。
セールでもないのに、この価格。
立ち食いそばですら400円を超えることが珍しくない新宿で、豚骨ラーメンが400円というのは、どう考えても破格だ。 立ち寄れなかった後ろ髪
思わず足が止まりかけたものの、この日は提出必須の書類があり、寄り道している余裕はない。
後ろ髪を引かれつつも、そのまま店を後にした。
数日後も消えない豚骨らーめん和「400円」の記憶
数日後、別件で再び新宿へ。
仕事は10時半に終わり、そのまま次の場所へ移動して食事を済ませることもできた。
それでも、あの「400円」という数字が頭から離れない。
あの値段で出てくる豚骨ラーメンの味を確かめたい。
そして、その事実を世に伝えたい——そんな、少し大げさな使命感のようなものまで湧いてきた。
気づけば足は、豚骨らーめん「和」へ向かっていた。
こうして、少し早めの昼食をこの店でとることにした。

即決を迫られる券売機と、思ったより奥行きのある店内
店舗に入ると、すぐ目の前に券売機がある。
いわゆる「入った瞬間、決断を迫られる」配置で、立ち止まって考える余裕はあまりない。
そもそも店頭では「らーめん400円」という看板に目をとられてしまい、それ以外のメニューをきちんと確認できていなかったこともあり、ここで初めて選択肢の存在に気づく。
店内は縦長の造りで、左側に厨房に沿うようにカウンター席が伸びてい。
このカウンターが意外と長く、数えてみると12名ほどは座れそうだ。
奥へ進むと空間が少し広がり、右側にはテーブル席も用意されている。


全体的に店内はやや暗めの印象。
落ち着いているとも言えるし、少し無骨とも取れる。
高い位置にはテレビが設置されているが、カウンターとは平行に取り付けられているため、これを見ようとすると首を90度ほど回さなければならない。
なんとなく「テレビはおまけ」くらいの距離感だ。
メニューは、基本の博多ラーメンに加え、辛さのある赤博多ラーメン、黒博多ラーメンといったバリエーションが並んでいる。
正直なところ、400円のラーメンを頼むのは申し訳ない気がして、500円の黒博多ラーメンを選んだ。
ただ、あとから考えれば「400円じゃ申し訳ないから500円にする」という配慮は、雀の涙にもならない程度のものだったかもしれない。
そんなことを思い返しつつ、食券を差し出し、席についた。
豚骨らーめん和 創業背景・歴史
博多らーめん 和(新宿西口)は、2021年7月25日前後に西新宿で開業した博多豚骨ラーメンの専門店である。
口コミや居抜き店舗情報によれば、店舗はかつてゴーゴーカレー西新宿店が営業していた場所に居抜きで出店しており、開業時期は2021年7月下旬とされている。
所在地は東京都新宿区西新宿7丁目。
新宿駅から近い距離にありながら、大通り沿いではなく、少し脇に入った位置にあり、人通りは多すぎない。
営業形態については、単店舗・個人経営型と見られている。
公式ウェブサイトや法人名の表記は確認されておらず、食べログ上でも「お問い合わせ 不明」「会社情報なし」と記載されている。
なお、同じ名称の「博多ラーメン 和(赤坂)」という店舗が存在するが、こちらは2014年創業で、新宿店とは別店舗であることが明確になっている。
実食博多豚骨らーめん和レポート

黒博多らーめんの第一印象と香りのインパクト
食券を渡してからわずか3分ほどで黒博多ラーメンが到着。まさに電光石火の豚骨ラーメンだ。 まず目を引くのは、名前のとおり「黒」がはっきりと主張するビジュアル。スープ表面には黒マー油が広がり、白い豚骨スープとのコントラストが鮮烈だ。 この黒マー油の香りが最初にふわっと鼻を抜け、食欲を一気に引き寄せてくる。
スープは博多豚骨らしいライトな口当たりがベースになっており、そこに焦がしニンニクの風味が重なる構成。豚骨のコクはしっかりあるものの、想像よりもくどさは控えめだ。
麺・具材・卓上調味料から見える“400円”の工夫
麺は細めのストレートで、博多ラーメンらしい組み合わせ。バリカタで注文したが、それでもやや柔らかめに感じた。 具材はチャーシュー、ネギ、海苔というシンプルな構成だが、400円という価格を考えると十分すぎる内容だ。
一方で、紅ショウガ・にんにく・ごま・辛味高菜といった卓上調味料は各50円の有料制。ここでコストを抑えることで、この価格を実現しているのだろう。
訪問後記
《三行の経営論》
プロフェッショナルマネジャー ~58四半期連続増益の男ハロルド ジェニーン (著), アルヴィン モスコー (編集), 田中 融二 (翻訳),
本を読む時は、初めから終わりへと読む。
ビジネスの経営はそれとは逆だ。
終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。
この言葉は、アメリカの実業家ハロルド・S・ジェニーンが著した
『プロフェッショナルマネジャー』に記された、いわゆる「三行の経営論」として知られている。
経営とは積み上げではなく逆算であり、最初に目指すべき結果を定め、そこから今やるべきことを決めていく。この考え方を、これ以上削れない形で言語化したのが、この一節だ。
ハロルド・S・ジェニーン(1910–1997)は、ITTを世界的コングロマリットへ成長させた名経営者。夜間大学で会計を学び、1959年にITTのCEOへ就任。徹底した数字管理と大胆なM&Aで300社以上を買収し、売上を10年で20倍以上に拡大した。通信だけでなくホテル、保険、食品など多分野に進出し、ITTを“多角化企業の象徴”へ押し上げた人物として知られる。退任後も影響力を持ち続け、「数字は嘘をつかない」という彼の哲学は今も語られている。
1977年にCEOを退任後も会長として1979年まで在任し、その後も取締役として活動を続けた。
※ITT(International Telephone and Telegraph)
※このリンクは広告です
400円という価格はどこから来たのか
400円の豚骨ラーメンという価格は、原価や経費を一つずつ積み上げていく計算では、どう考えても成り立たない。材料費、人件費、家賃、立地条件。足し算を重ねれば、真っ先に「無理」という結論に行き着く数字だ。
それでもこの価格が現実として存在している以上、ここでは別の順序で考えられているはずだ、と思えてくる。おそらく、「400円で出す」と先に決めた。そのうえで、何を削り、何を残し、何を有料にするかを突き詰めていった。メニュー構成、味変の扱い、提供スピード。そのすべてが、結果から逆算された設計のように見える。
値下げという選択が示すもの
しかも、この店が驚かせるのは、値上げが当たり前になったこの時代に、むしろ価格を下げて成立させている点だ。
守るために価格を上げる選択肢ではなく、設計を見直すことで価格を下げるという選択をしている。
それは気合やサービス精神というより、ゴールを先に定めた結果としての割り切りに近い。
この一杯は、積み上げの末に偶然生まれたラーメンではなく、狙った地点にたどり着くために形づくられたラーメンなのだと、そんなふうに感じられた。
自分はどこへ向かっているのか
翻って自分はどうかというと、正直なところ、行き当たりばったりな行動で、
成り行きに任せて生きている部分が多い。
目の前の用事を片づけ、流れに乗り、気がつけば次の場所に向かっている。
大きな不満があるわけではないけれど、
「どこに向かっているのか」と聞かれると、言葉に詰まる。
この店のラーメンは、400円で出すという“終わり”を先に決めたうえで、
そこへたどり着くための選択を積み重ねていた。
その姿勢を見て、「自分はどうなりたいのか」「本当は何をしたいのか」そんな当たり前の問いを、
久しぶりに真正面から考えさせられた。
店舗情報
- 店名:博多らーめん 和
- 住所:東京都新宿区西新宿7-10-6 武蔵屋KAビル 1F
- 最寄駅:新宿西口駅 徒歩約2分
- 営業時間:10:45〜翌1:00
- 定休日:不定休
- 席数:23席(カウンター13席・テーブル10席)
- 支払い方法:現金のみ
- 喫煙:全席禁煙
- 周辺環境:新宿駅西口・大ガード西交差点から徒歩圏/青梅街道から一本入ったエリア



コメント