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吉祥寺 油そば|ぶぶか 鳥人ブブカが導いた物語と白丸の実力

僕が持っているものは、すべて努力によって手に入れた。

セルゲイ・ブブカ

吉祥寺 ぶぶか 

吉祥寺でふらりと入った「ぶぶか」で、名物の油そばを味わった一日。店名に隠れた意外な背景と、白丸油そばが見せる深さを、街歩きの視点で丁寧にまとめました。行列前に知っておきたい記録です。

吉祥寺にある「ぶぶか」 外観
吉祥寺 ぶぶか 外観

吉祥寺で行列を避けて名物油そばへ

奇跡的に空いていた「ぶぶか」に吸い寄せられる

間宮さんとユリアン監督の話題なのかどうかは分からないけれど、映画「まがまが女」を観終わったのが15時すぎ。吉祥寺パルコの裏口から外に出ると、ちょうど目の前に「ぶぶか」がある。普段は長蛇の列ができていて、気合いがないと入りにくい店なのに、この日は中途半端な時間帯のせいか、驚くほど空いていた。

“吉祥寺を代表する油そば” の店が並ばず入れるのはかなり珍しい。これはもうタイミングの勝利だと思い、久しぶりに迷わずそのまま入店することにした。


迷う暇なしの券売機で選ぶ吉祥寺ぶぶか

白丸油そばを購入した理由

店に入ると、すぐ右側に即断即決を迫ってくるような券売機がある。

メニューは大きく分けて、こってり系の黒丸油そば、黒丸よりも軽めの味わいとされる白丸油そば、辛さを求める人向けの辛丸油そば、そして極丸らーめん

そのほかにセットメニューや期間限定おすすめが並んでいる。

ただ、券売機の前は大人ひとりが立てるかどうかというほどの幅しかなく、食べ終わって外に出る人とは自然に譲り合わないと通れない。つまり、じっくり時間をかけて選ぶ余裕はほとんどない。直感と勢いがすべて、という空気がある。

そんな状況もあって、今回は迷わず白丸油そばを選んだ。油そば自体がしっかりパンチのある一品なので、まずは白丸でバランスを楽しみたい気分だった。

ちなみに、つけ麺間宮さんは “つけ麺のような濃い味が好み” らしく、黒丸の玉子入りを迷わず購入していた。

券売機の前でのこの数十秒に、それぞれの好みがくっきり出るのがちょっと面白い。


ぶぶか メニュー一覧 ※2025年4月24日版

◆ 油そば(汁なし)

黒丸(こってり濃厚タレ/創業二十年伝統の味)
  • 黒丸 油そば:830円
  • 黒丸 味玉油そば:950円
  • 黒丸 ネギ油そば:980円
  • 黒丸 チャーシュー油そば:1,130円
  • 黒丸 味玉チャーシュー油そば:1,250円
  • 黒丸 マヨ油そば:880円
  • 黒丸 草食系油そば:1,110円
  • ぶぶかスペシャル:1,380円
白丸(あっさり油そば/多めのタレで食べやすい)
  • 白丸 油そば:830円
  • 白丸 味玉油そば:950円
  • 白丸 ネギ油そば:980円
  • 白丸 チャーシュー油そば:1,130円
  • 白丸 味玉チャーシュー油そば:1,250円
  • 白丸 ネギチャーシュー油そば:1,280円
辛丸(からまる/鬼ごっつい辛さと旨み)
  • 辛丸 油そば:930円
  • 辛丸 マヨ油そば:980円
  • 辛丸 ネギ油そば:1,080円
  • 辛丸 味玉油そば:1,050円
  • 辛丸 チャーシュー油そば:1,230円
  • 辛丸 味玉チャーシュー油そば:1,350円

◆ らーめん(ぶぶか風こってりらーめん)
極丸(きわまる)
  • 極丸 醤油らーめん:930円
  • 極丸 味玉らーめん:1,050円
  • 極丸 醤油ネギらーめん:1,080円
  • 極丸 もやしらーめん:980円
  • 極丸 チャーシューめん:1,230円
  • 極丸 味玉チャーシューめん:1,350円

セットメニュー

  • 油そば・らーめん + ぶぶかご飯セット:+450円
  • 黒丸ごはんセット:1,280円
  • 白丸ごはんセット:1,280円
  • 極丸ごはんセット:1,380円
  • 辛丸ごはんセット:1,380円
  • ぶぶかセット(餃子+ライス):550円

トッピング

  • 味玉子:120円
  • 生たまご:100円
  • マヨネーズ:50円
  • ほうれん草:120円
  • チャーシュー(1枚):110円/(3枚):300円
  • ネギ:150円
  • のり:120円
  • もやし:50円
  • メンマ:50円

サイドメニュー・ドリンク

  • 餃子:250円
  • ミニチャーシュー丼:350円
  • ライス:250円
  • 半ライス:180円
  • 生ビール(アサヒスーパードライ):550円
  • 黒烏龍茶:300円


吉祥寺ぶぶかの店内は縦長のカウンター構造

油そばに最適化された空間づくり

店内は奥へ伸びる縦長のつくりで、右側に厨房、そこから一直線にカウンター席が並ぶ配置になっている。左側の壁際には少し窪んだスペースがあり、そこにアウターや荷物を置けるようになっている。さらに、その一角に冷水機が置かれていて、水はセルフスタイル。横には紙エプロンも用意されている。

「油そば」と聞くと、どうしても“油が飛んでくる”というイメージがつきまとう。普段そこまで気にするタイプではないけれど、紙エプロンが視界に入ると、自然と手が伸びてしまうのがこの料理の魅力でもある。

卓上にはラー油、擦りニンニク、コチュジャン、酢、胡椒といった調味料が、まるでこれから使う弾薬を選ぶかのように並べられている。さらに「油そばの食べ方」という手引きも置かれていて、初めての人でも迷わず楽しめるようになっている。その説明に軽く目を通しながら、これからどんな一杯が来るのかをイメージしつつ、到着を静かに待つことにした。

吉祥寺ぶぶかの卓上に書かれた油そばの食べ方
卓上には油そばの食べ方が書いてる手引書とその前に調味料が並ぶ

ぶぶか創業の背景

明星食品を離れ、油そば専門という挑戦へ踏み切った理由

ぶぶかの創業者は、もともと明星食品に勤めていた人物だと複数の媒体で紹介されている。大手メーカーで商品開発に携わった経験を持ちながら、1990年代半ばに脱サラし、1995年に東京・立川でラーメン店を立ち上げたという。この頃、油そばはまだ一般的ではなく、一部の地域や愛好家だけが知る存在だった。そこに「油そばを主力商品として店を成立させる」という判断を下した点に、創業者の強い企画力と市場を見る目があったと推測できる。

一次情報として、ラーメンWalkerの記事では創業者本人が登場し、当時の味づくりの背景や考え方が語られている。濃厚でパンチのある味わい、中毒性のあるタレの構成、麺に対する執着など、どれもメーカー時代に培った技術が土台になっていると考えられる。油そばというシンプルな構造で勝負するには、タレと油の設計、麺の食感のバランスを精密に組み立てる必要があるため、創業者の経験値がそのまま店の個性につながったのは明らかだ。

吉祥寺店はチェーン展開の中でも特に人気が高く、行列の店として認知されてきた。多店舗化しても味の方向性を大きく変えていない点を見ると、「濃厚な一杯で満足を与える」という初期の価値観を一貫して守り続けている店だということがうかがえる。


白丸油そばが三段階で変化していく

混ぜて、香って、仕上げに酢で整う一杯

吉祥寺ぶぶかの白丸油そば
白丸油そば

白丸油そばは、注文から10分もかからずにカウンターへ運ばれてきた。スープがない分、具材がくっきりと表情を見せている。肉厚チャーシュー、メンマ、刻みネギ、なると、そして貝割れ大根。油そばならではの“構造が見える一杯”だ。

手引書にならって、丼の底から麺を掘り起こすように混ぜていく。最初はタレの香りがふわっと立ち上がり、混ぜるほどに麺の表面が少し艶っぽく変化していく。ここが油そばの一番テンションが上がるところだと思う。

ひと口めは、白丸らしい軽さの中に油そば特有のコクがはっきりとあって、シンプルなのに満足感がある。途中で擦りニンニクをほんの少し足すと、香りの輪郭がくっきりして味が一段深くなる。ラー油を数滴垂らせば、辛味がアクセントになって、別の白丸が顔を出す。

そして最後は、卓上の酢をひとまわし。油のコクをまろやかに断ち切るような爽やかさが生まれ、さっぱりと締まる。この“酢でのフィニッシュ”が白丸の余韻をきれいに整えてくれて、食後の重さを感じさせない。味が段階的に変わっていくのが、油そばの醍醐味だと改めて思う。


店名「ぶぶか」の裏側に触れる

“鳥人”との関係性

席に座って店内を見回したとき、まず目に入ったのが「食品衛生責任者 深田学」という表記だった。そこから自然と、「ぶぶか」というユニークな店名が気になり始める。

響きが独特だし、どこか意味を持っていそうな空気がある。

そこでまず浮かんだのが、高校生の男子がつけそうなあだ名の発想だ。

深田(ふかだ)をひっくり返して「ぶかだ」、そこに名前の“ぶ”(学=まなぶ)を重ねれば「ぶぶか」になる──そんな軽い推理遊びが頭の中で広がっていった。

ところが気になって調べてみると、まさかの情報がすぐに見つかった。

創業者は、棒高跳びのレジェンド“鳥人”セルゲイ・ブブカにちなみ「ぶぶか」と名付けたと語っているという。ラーメンWalkerの記事に記録として残っているため、この説の信頼性はかなり高い。油そばの「飛び抜けたインパクト」と、ブブカの“跳ぶ”イメージを重ねたネーミングだとすれば、むしろこちらの方がしっくりくる。

店名にほんの少し触れるだけで、こうして小さな物語が生まれるのが面白い。油そばが届く前の数分が、ちょっとだけ豊かな時間になった。


訪問後記


僕が持っているものは、すべて努力によって手に入れた。

セルゲイ・ブブカ

この言葉は、棒高跳び界のレジェンド、セルゲイ・ブブカの名言だ。1980〜90年代にかけて世界記録を1cmずつ更新し続け、まさに“鳥人”と呼ばれた存在。その象徴的な姿勢は、派手な一発よりも、確実に積み上げる努力の価値を伝えている。

創業者が「ぶぶか」という店名を選んだ背景にも、この考えが重なる。ラーメンWalkerの記事によると、創業者は屋台営業時代に文化放送「小倉智昭の夕焼けアタックル」をよく聴いていたという。その中に「ブブカの法則」というコーナーがあり、ブブカが1cmずつ世界記録を伸ばす姿勢になぞらえて“日常のわずかな違い”をテーマにした企画があった。

ゼロから屋台を引きながら、今日より明日、明日より明後日と、ほんの少しでも成長したい

──その思いが重なり、「らーめん専門店 ぶぶか」という名が生まれたのだという。

この背景を知ることで、一杯の背後に流れるストーリーがふっと輪郭を持ち始める。

派手じゃなくていい。1cmでいい。積み上げれば、ちゃんと届く場所がある。

吉祥寺の行列店になった理由は、きっとその“1cmの積み重ね”にあるのだと思う。


アクセスと店舗情報

店名:油そば専門店 ぶぶか 吉祥寺店
• 住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-7-1
• 最寄り駅:吉祥寺駅北口より徒歩2分
• 営業時間:11:00〜23:00
• 定休日:なし
• 周辺:サンロード商店街すぐ、買い物・食べ歩きに最適


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