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池袋・ラーメン|むかん 王子さまに導かれた牡蠣塩ラーメン

それでは、大事な秘密を教えてあげよう。とても簡単なことさ。それはね、ものごとはハートで見なくちゃいけない、っていうことなんだ。

大切なことは、目に見えないからね

出典:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』(岩波書店、内藤濯訳)

池袋 むかん

池袋で話題のラーメン店「むかん」を訪れました。牡蠣塩ラーメンという個性的な一杯は、食べ方も味変も正解が決まっていません。迷いながら味わった時間と、星の王子さまの言葉が重なった体験を綴ります。

池袋むかんの外観写真
池袋 むかん 外観

むかん入店きっかけ

招待状のようなフォローから始まった話

このブログを宣伝するためにXで発信を続けている。そのXでフォローしてくれたのが「池袋むかん」だった。私はこれを、むかんからの招待状みたいなものだと感じた。

Xの投稿を見てみると、塩牡蠣ラーメンというあまり聞きなれない種類のラーメンが目に入り、さらに3月8日までは感謝祭として替玉が無料だという。これはもう行かない理由がない。むかんの招待状を受け取り、むかんについて綴ることが私に求められたことだと受け止める。

そうして、池袋にあるむかんへ入店することにした。


店内描写

狭さと香りが印象に残る「むかん」のカウンター空間

店内はカウンター9席で、席の後ろの通路が狭い。少し大きめの鞄を持って移動していた私は、さぞかし迷惑だっただろう。この場をお借りしてお詫びしたい。カウンターの木目は明るめで、使い込まれた質感があり、店全体に落ち着いたほのかな温度を与えている。

券売機の近くには接客担当の女性スタッフが立っていて、そこに店主1名を加えた2名体制で運営を行っている。オペレーションは無駄がなく、必要なときにすっと動ける距離感を保っている印象だ。

卓上には高菜、胡椒、一味が並び、ユニークなのは山椒とリンゴ酢ニンニク。小ぶりな瓶が整然と並び、客の「味変欲」を静かに刺激してくる。

塩牡蠣ラーメンをこの調味料でどう味変していくのか、また、それをどの順番にするのか。
その選択をどうするか、なかなか悩ましいところだ。

池袋むかんの卓上調味料ラインナップ画像
卓上調味料ラインナップ

注文

即断を迫られる券売機と最初の選択

店内に入ると、右側すぐのところに券売機が置かれている。入店して間もなく、即断を求められる配置だ。

メニューは大きく分けて、牡蠣塩ラーメンと蟹あんかけラーメンの二種類。それぞれに味玉付き、そして味玉・肉・ネギが追加された特製と呼ばれるもので構成されている。そこに白ごはん、肉丼、釜揚げしらす丼、ミニチャーシュー丼が加わり、全体としては比較的シンプルなメニュー構成だと感じた。

初めて入る店では、看板メニューをノーマルで注文するという自分の中の鉄則をここでも採用する。そう決めて、牡蠣塩ラーメンのボタンを押した。

むかん券売機メニュー一覧

ラーメン
商品名価格
牡蠣塩ラーメン900円
味玉牡蠣塩ラーメン1050円
★特製牡蠣塩ラーメン(肉2枚・味玉・岩海苔)1300円
蟹餡かけラーメン950円
味玉蟹餡かけラーメン1100円
★特製蟹餡かけラーメン(肉2枚・味玉・岩海苔)1350円
ランチセット
商品名価格
牡蠣塩ラーメン+まかない飯1150円
味玉牡蠣塩ラーメン+まかない飯1300円
特製牡蠣塩ラーメン+まかない飯1550円
蟹餡かけラーメン+まかない飯1200円
味玉蟹餡かけラーメン+まかない飯1350円
★特製蟹餡かけラーメン+まかない飯1600円
ごはんもの
商品名価格
★肉丼(ドンと🍖3枚に特製ダレ)350円
釜揚げシラス丼350円
ミニ角切りチャーシュー丼250円
ライス200円
半ライス150円
トッピング
商品名価格
味玉150円
肉増し(2枚追加)200円
ネギ増し150円
岩海苔増し150円
別皿おつまみ(肉2枚・味玉)350円

創業背景・歴史

むかんという店の成り立ち

むかんは、もともと東京・板橋で営業していたラーメン店「Soupmen(スープメン)」をルーツに持つ店だとされている。Soupmenは2018年頃に登場し、牡蠣を前面に出したラーメンで注目を集め、ラーメン好きの間で一気に名前が広まった。

その後、Soupmenの創業に関わった人物が、中野坂上で新たに立ち上げたのが「むかん」

中野坂上の店舗は完全予約制という独特の営業形態を取り、「日本一予約が取れないラーメン店」と呼ばれるほどの人気になった時期もあったようだ。

看板メニューである牡蠣塩ラーメンは、広島県産の牡蠣を中心に使用し、牡蠣の旨味を強く打ち出したスープが特徴とされている。麺は三河屋製麺と共同開発した専用麺を使っている、という点も公式情報として確認できる。

店名の「むかん」は、漢字では「無冠」と書くと言われている。肩書きや評価にとらわれず、常に挑戦者であり続けるという謙虚な姿勢を店名に表わしたという。

池袋店は、そうした流れの中で誕生した店舗のひとつであり、より多くの人にこの一杯を届けようとする役割を担っているように思える。


実食レポート

牡蠣塩ラーメン まずは、そのままの一杯を味わう

池袋むかんの牡蠣潮ラーメン画像
むかんの牡蠣潮ラーメン

食券を渡してから本当に数分。
想像していたよりもずっと早く、牡蠣塩ラーメンがカウンターに置かれた。立ち食い側よりも早い。厨房の動きを見ていると、迷いのない手つきで一杯が仕上がっていくのが分かる。

立ち上がる香りは、どこか牡蠣のアヒージョを思わせる独特なものだ。一般的な塩ラーメンの香りとは少し違うのに、不思議と嫌な感じはしない。むしろ少しエスニックな気分になってくる。

麺を持ち上げると、意外にも細麺だった。なるほど、提供が早い理由はここにあるのだろう。パツッとした歯切れで、スープをしっかり引き上げてくる。ひと口目から牡蠣の旨味が一気に広がるが、臭みや雑味はなく、塩だれは丸い。

丼の中央にはペースト状になった牡蠣が乗っている。食べ進めるうちに少しずつ溶け出し、スープの厚みが増していく。前半と後半で、印象が変わっていくのが分かるのも面白い。

チャーシューは主張しすぎず、味玉も控えめだ。全体として、あくまで主役は牡蠣。その一点にきちんと照準が合わされた一杯だと感じる。

味変の選択

味変に入る前、店員さんに「初めてなので食べ方を教えてください」とお聞きしたものの、「好みでリンゴ酢ニンニク、山椒どうぞ」と、期待した答えは返ってこなかった。ただ、これは変なおじさんがいきなり不躾な質問をしたから悪いのであって、決して店員さんが悪いわけではないと、一緒にいた吉岡さんに注意された。こちらも、この場をお借りしてお詫びしたい。

まず頭に浮かんだのはリンゴ酢ニンニク。
ただ、この後に商談が控えている。マスクを付ければいけるか、という考えもよぎったが、それはプロフェッショナルじゃないなと、結局渋々断念した。

最初は手堅く胡椒から。
少量でも牡蠣の旨味の輪郭がはっきりする。

次に山椒。
濃厚な牡蠣に、すっと風を通すような香りが加わり、印象が軽くなる。

最後は一味で締める。
刺激を足すというより、ここまでの味の流れに区切りをつけるような使い方だ。気づけば、この一杯に対して、なかなか真剣に向き合っていた。


入店エピソード

知らずに向かったからこそ残った感触

今回は、どんなラーメンが出てくるのかも知らないまま、むかんからの招待状をもとに訪れた。そこで出会った牡蠣塩ラーメンは、これまでに体験したことのない味だったが、素直にとても美味しいと感じた。

そういえば以前、池袋の街に迷い込むようにして入った「ヌードルボイス」でも、ホタテを使った一杯を食べたことを思い出す。牡蠣とホタテ、素材は違うが、どちらも海鮮系という点では共通項がある。

海鮮系ラーメンは、最近になってクローズアップされてきたカテゴリーだと思う。

どんなラーメンかを知る前に、店に向かい、席に座り、一杯と向き合う。
今回の訪問は終始そんな流れだった。

ここから先は、その余韻をどう言葉にするか、という話になる。
そして思い出したのが、『星の王子さま』のあの言葉だった。


訪問後記

それでは、大事な秘密を教えてあげよう。とても簡単なことさ。それはね、ものごとはハートで見なくちゃいけない、っていうことなんだ。

大切なことは、目に見えないからね

出典:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』(岩波書店、内藤濯訳)

この言葉は、フランスの作家・操縦士であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが書いた『星の王子さま』に登場する一節だ。作中では、キツネが王子さまに別れ際に語りかける言葉として知られている。

物語の中でキツネは、「時間をかけて関係を結ぶこと」や「慣れ親しむこと」の大切さを王子さまに教える存在だ。この言葉が語られる背景には、見た目や分かりやすい価値だけで物事を判断してしまう大人たちへの、静かな問いかけがある。

目に見えるもの、数値化できるもの、説明しやすいもの。
そうしたものは確かに便利だけれど、本当に大切なものは、時間をかけて向き合わなければ分からない。心で感じ取らなければ見えてこない。キツネは、そのことを「秘密」として王子さまに託した。

この言葉は、食事や街歩きにもよく当てはまる。
評判や写真、事前の情報だけでは測れない空気や余韻がある。実際にその場に立ち、食べ、迷い、選ぶことでしか分からないものがある。目に見えない部分にこそ、その店らしさや、一杯の本当の魅力が宿っているのだと思う。


王子さまのように現れた、むかん

むかんからのフォローは、ふと目の前に現れた王子さまのようだった。
何の前触れもなく、特別な説明もなく、ただそこに現れて、こちらに小さなきっかけだけを残していく。Xでのフォローという行為は、それくらい静かで、でも確かに印象に残る出来事だった。

王子さまがそうであるように、むかんも多くを語らない。
どんなラーメンなのか、どう食べるのが正解なのか、明確な答えは示されない。ただ、一杯のラーメンを前にして、どう感じるか、どう向き合うかをこちらに委ねてくる。

「ものごとはハートで見なくちゃいけない」
『星の王子さま』の言葉を借りるなら、むかんとのつながりもまた、目に見える情報ではなく、実際に足を運び、香りを嗅ぎ、味に迷いながら確かめることで、少しずつ形になっていった。

フォローという小さな接点から始まり、一杯を食べ終えるころには、説明できない納得感だけが残る。
むかんは、こちらに答えを与えるのではなく、感じ取る時間そのものを差し出してくる存在だった。だからこそ、この店との出会いは、王子さまとの出会いのように、後になってじわじわ効いてくるのだと思う。


私は誰だったのか

今回の私は、星の王子さまに導かれるままに店へ向かい、むかんという店を、自分なりの解釈で綴っている。
では、『星の王子さま』の世界に当てはめると、私は誰に一番近いのだろうか。

たぶんそれは、物語の語り手である「操縦士」だと思う。
王子さまに出会った操縦士は、最初から物事の意味を理解していたわけではない。ただ目の前に現れた存在に戸惑い、問いを投げかけ、うまく答えが返ってこないことに悩みながら、それでも一緒に時間を過ごしていく。

むかんからのフォローという“王子さまの登場”に導かれ、何も分からないまま店へ行き、どう食べるのが正解か分からず、味変に迷い、答えを求めて空振りする。その一つひとつは、操縦士が王子さまの言葉に首をかしげながら、少しずつ大切なことに気づいていく過程と、どこか重なっている。

操縦士は、王子さまのように純粋ではない。
けれど、だからこそ、後になって気づくことがある。
あの時間は何だったのか、あの出会いは何を残したのか、と。

今回のむかんも同じだ。
一杯のラーメンを通して、すぐに答えが出るわけではない。でも、あとから思い返したときに、じわじわと意味を持ちはじめる。そういう体験だった。

知らない街で、知らない店に入り、知らない味に出会う。
その記録を残すという行為自体が、操縦士が王子さまの物語を書き留めたことと、少し似ている気がしている。


アクセス・店舗情報

  • 店名:むかん 池袋
  • 住所:東京都豊島区南池袋1-24-5
  • 最寄り駅:池袋駅 東口より徒歩数分
  • 営業時間:11:00〜22:00(変更の可能性あり)
  • 定休日:不定休
  • 席数:カウンター9席

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