西新宿の昼下がり、タカマル鮮魚店の暖簾をくぐる。開店直後、一番乗り。カウンターに立つと、口頭注文・前払いのスタイルに少し緊張する。後ろに並ぶ気配があれば、メニュー選びはスピード勝負。迷ったら日替わりランチに限る。魚屋の直感に任せるのが正解だ。

魚屋文化の再生から始まった
この店の創業は2009年。代表の相原正孝氏は兵庫県尼崎市の出身で、若い頃は俳優を目指して上京したそうだ。時代劇の切られ役などを経験した後、水産会社に転職し、鮮魚の販売やマグロ解体ショーなどを通じて魚の魅力に目覚めたらしい。
2004年には株式会社鷹丸を設立し、築地市場での買参権を取得。卸業を通じて魚屋文化の可能性を感じ、「自分たちの手で魚屋の販売力を試したい」との思いから、2009年にタカマル鮮魚店を開業したようだ。
開業当初から「魚屋+食堂」の併設スタイルを採用していたらしく、母親から学んだ家庭料理をベースに、煮付け、焼き魚、刺身など、漁師の家の食事のような“飾り気のない豪快さ”を提供しているという。誰もが満腹になれる店を目指し、鮮度・価格・満足度の三位一体を追求。魚屋文化の再生を掲げ、今も多くの常連客を惹きつけているようだ。
開業当初から「魚屋+食堂」の併設スタイルを採用していたらしく、母親から学んだ家庭料理をベースに、煮付け、焼き魚、刺身など、漁師の家の食事のような“飾り気のない豪快さ”を提供しているという。誰もが満腹になれる店を目指し、鮮度・価格・満足度の三位一体を追求。魚屋文化の再生を掲げ、今も多くの常連客を惹きつけているようだ。

久々の昼の魚定食
「コップどうぞ、ご自由な席へ」と渡された水の器を手に、奥のテーブルへ。
しばしの静寂。数分後、間髪入れずに人が流れ込んでくる。サラリーマン、OL、常連風の人々。みんな魚を目当てに集まってくる。
日替わりランチの中身は、ここでも明かされない。来てのお楽しみ。厨房から届いた膳を見て、思わず声が漏れそうになる。焼き魚、刺身、煮付け、おしんこ、ご飯、そして魚屋ならではのあら汁。しかも、ご飯とあら汁はおかわり自由。サービス精神が溢れている。

魚屋の誇りが詰まった一皿
一品一品が、魚屋の誇りを感じさせる味。麺続きだった自分を反省する。鮮魚界隈、活きがいい。隣の席では、日替わり以外のメニューを頼む人がいて、目移りしてしまう。
刺身定食、焼き魚定食、どれも次回は頼みたいと思わせるパレード。
厨房から「アラ汁おかわりどうぞ〜」の声。私も負けじと「アラ汁ください」と手を挙げる。
届いた熱々のアラ汁には、骨付きの身がたっぷり。これで1,000円とは、なんともありがたい。
ちなみに、500円は“ワンコイン”という粋な言い方があるが、1,000円札には洒落た呼び名がない。
“せんべろ”という言葉もあるが、なんだかカッコよくないし、インテリジェンスもない。
何か良い言い方はないかと考えながら、アラの身を骨からチマチマと取り出す。
魚の身をほぐす時間は、思索にちょうどいい。
衝撃、涙と咳の洗礼
そんなことを考えていた最中、鼻に衝撃が走る。
わさびだ。
ここのわさびはめちゃめちゃ効く。
ちょっと多いなと思ったんだけど、皿にちょいと乗せてあるものは全て小皿に入れるのが習慣。
たいていの店が一見ワサビが多い様に見えて、実は効きが悪い。
ただ、ここのは全然違う。さっき擦ったのかと思うくらいのワサビの効き。
まずい、涙と咳まで出てくる。
気づけば店内は満席。魚屋の昼は、今日も活気に満ちている。
店名:タカマル鮮魚2号館
住所:東京都新宿区西新宿7-13-7 タカマル鮮魚ビル1F
アクセス:JR新宿駅西口から徒歩約6分、大久保駅からも徒歩圏内
営業時間:11:00〜22:00(ランチは14:00頃までが目安)
定休日:不定休(公式SNSやGoogleで要確認)


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