地下へと続く階段の先に
上野でご飯を探していたとき、目に飛び込んできたのが「牛魔王牛肉ラーメン」の写真。
赤く煮えたぎるスープに牛肉が沈み、どこか韓国料理のユッケジャンを思わせる。辛さと滋味が混ざり合うような、そんな予感。
アメ横の喧騒を抜け、人波を押し分けて少し横道にそれる。
そこにあるのは、地下一階へと続く階段。地下というだけで、なぜか心がざわつく。秘密基地、隠れ家、あるいは異世界への入口──そんな想像がふくらむ。

入口からして、すでに怪しい。ふと「引き返そうか」と思ったほどだ。だが、その直前に階段を降りていったのは、幼稚園くらいの子どもを連れたファミリー。まさかの二児連れ。ここで私が後退りするわけにはいかない──そんな妙な意地が芽生えた。
創業背景と店のこだわり
この「牛魔王ラーメン」は、2022年12月にオープンしたばかりの新しい店。中国・河南省出身の料理人が手がける本格中華麺の専門店で、看板メニューは牛骨スープに手打ち麺を合わせた「牛肉ラーメン」。

注文が入ってから麺を打つというこだわりがあり、厨房では麺打ちのパフォーマンスが始まることもある。170種類以上の中華料理を揃え、ラーメンだけでなく麻婆豆腐やラム肉チャングオ麺など、クセの強い料理がずらりと並ぶ。まるで「中華の異世界」に迷い込んだような感覚だ。
臨場感と不意打ち
店内に入ると、カウンターに案内されたのか、勝手に座ったのかは覚えていない。「どこでも良いですよ」と言われ、気づけば料理の様子が観覧できる“バックネット裏”の席に。
注文は迷わず「牛魔王牛肉ラーメン」。するとすぐ、厨房の奥で麺となる塊がまな板に叩きつけられる。バン、バン、バン──まるで打楽器のような音が響く。そこから麺が伸ばされていく様子は、まさに職人技。注文を受けてから麺を打つという臨場感。いい。とてもいい。だが、まあまあうるさい。
茹でた麺がどんぶりに入り、鍋から牛肉スープがオタマで掬われる。牛肉と野菜が加わり、完成。麺は意外にも単調な見た目だが、手打ちだけあって細さがまばら。これが技術の結果なのか、意図的なのかはわからない。個人的にはこの不揃いな麺に味わいを感じるが、揃った麺でも食べてみたい気もする。

後半になると、スープを口に含むたびに野菜が混ざってくる。そしてその中に、避けていた懐かしい味が──パクチー🌿だ。食べられないわけではないが、一言あってもよかった。不意打ちを喰らった。
それでも、麺は普通盛りなのに量が多く、かなり満足感がある。
牛魔王は、どこにいる?
さて、なぜ私がこの店に来たのか──
それは、ユニークな名前に惹かれたからだ。「牛魔王」。
いったい何者なのか?
結局のところ、それは不明である。
ただ、店に向かう階段には立派な牛の角が置かれている。

どうやら牛魔王は、外に出るときにこの角をつけるのだろう。
ということは、今この角が置かれているということは……
牛魔王は店内にいる、ということになる。
では、誰が牛魔王なのか?店主か、麺を打つ職人か、厨房の奥にいる誰かか──それとも、カウンターに座っている私たち自身なのか。
その答えは、ここでは語らないことにする。ぜひ、あなた自身の目で確かめてほしい。
牛魔王は、きっとあなたのすぐそばにいる。
※最近、都市伝説の動画にはまってます
🏪 店舗情報|牛魔王ラーメン 上野店
- 住所:東京都台東区上野4-8-9 Oakビル B1F
- アクセス:京成上野駅 徒歩1分/JR上野駅 徒歩2分
- 営業時間:月〜土・祝前日 11:00〜翌6:00/日曜 11:00〜23:00
- 座席数:32席(カウンター・テーブル・半個室)
- 支払い:クレジットカード・電子マネー・QR決済対応
- 予約:可(TEL:050-5462-4093)


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