
「鳥刺しがある」と聞くと、ついその店に足を向けてしまう。これは衝動的な行動だろうか?──いや、むしろ“信頼”への反応だ。
鳥刺しは「鮮度」と「信頼」の象徴
鶏肉を生で食べるという行為には、並々ならぬ鮮度管理と、仕入れルートへの深い信頼が必要だ。特に「朝引き鶏」と呼ばれる、早朝に屠畜されてその日のうちに提供される鶏肉は、時間との勝負。屠畜から脱骨、洗浄、冷却、配送、盛り付けまで、すべてが数時間単位で管理されている。
これは単なる流通ではなく、料理人と生産者が共同で築く“鮮度の物語”だ。
鳥刺しを提供できる店の条件
鳥刺しを出せる店は、地元の養鶏場と直結した仕入れルートを持っていることが多い。鶏の育て方、飼料、環境、ストレス管理まで把握しているからこそ、肉質と安全性に絶対の自信がある。そして、保健所との信頼関係も欠かせない。定期的な衛生検査を受け、厳しい基準をクリアしているからこそ、皿の上に“生”を出せるのだ。
九州の甘口醤油が鳥刺しを引き立てる
鳥刺しには、九州の甘口醤油がよく合う。まろやかさとコクがあり、鶏肉の淡白な旨みを壊さず、むしろ引き立ててくれる。塩辛い醤油では尖ってしまう味が、甘口醤油では包み込まれるように感じる。
【実食レポ】飯田橋「とりしん」で味わう、さつま赤鶏の鳥刺し
地下にひっそりと佇む「とりしん」は、鹿児島直送の「さつま赤鶏」を使った鳥刺しが名物。皮の香ばしさと身の甘みが際立ち、柚子胡椒やごま塩との相性も抜群だ。
地酒や焼酎のラインナップも豪華で、「十四代」「新政」「魔王」など、全国の銘酒が揃っている。
店主のこだわりが詰まった一軒
「とりしん」は平成21年(2009年)創業。店主の青木信和さんは、大手アパレルメーカーでマーケティングを学び、36歳で飲食業界に転身。22年の経験を経て、58歳でこの店を開いた。多店舗展開はせず、鮮度管理・仕入れ・調理・接客まで、すべてに目が届く範囲で運営している。
鳥刺しという繊細な料理は、チェーン展開では出せない温度感がある。ここには、店主の哲学が隅々まで行き渡っている。
鳥刺しは「対話」である
皿の上に並ぶ淡い桃色の鶏肉。添えられた柚子胡椒は、小さな火種のよう。口に運ぶと、柔らかさの中に微かな抵抗があり、それが“生”であることを思い出させる。
鳥刺しは、鮮度への信頼、生産者との連携、調味料との寄り添い、そして食べる側の感性が交差する“対話”なのだ。
「鳥刺しがある」と聞いて足が向いてしまうのは、きっとその“物語の入口”に惹かれているからなのだろう。
店舗情報:とりしん(飯田橋)
とりしん(飯田橋)の基本情報はこちらです:
- 🏠 住所:東京都新宿区揚場町2-27 MIT飯田橋ビル B1F
- 🚉 アクセス:JR飯田橋駅 東口 徒歩1分/地下鉄各線 飯田橋駅 B1・B4b出口 徒歩1分
- 📞 電話番号:03-5228-2497(予約可)
- 🕒 営業時間:
- 月〜金:ランチ 11:30〜14:00/ディナー 17:00〜23:30(L.O.23:00)
- 土曜:17:00〜22:30(L.O.22:00)
- ❌ 定休日:日曜・祝日
- 💳 支払い方法:現金、各種クレジットカード、PayPay対応
- 🍢 ジャンル:居酒屋、焼き鳥、鍋料理
- 🪑 席数・空間:
- 総席数71席(テーブル席・カウンター席あり)
- 全席半個室仕様、最大60名までの貸切対応可
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